労働契約申込みみなし制度について

過去4回にわたり、派遣社員の採用のために派遣先が守るべき義務や禁止事項等についての注意点を確認してきました。今回は、その義務を守らずに違法派遣を受け入れた場合に適用される制度、「労働契約申込みみなし制度」についてチェックしていきましょう。

1. 労働契約申込みみなし制度とは

派遣先が違法派遣を受け入れることを抑止する目的で作られた制度です。
派遣先が違法派遣を受け入れた時点で、派遣先は派遣社員に対して、派遣元との労働条件と同一内容の労働契約の申し込み(直接雇用の申し込み)をしたとみなす制度です。この「申し込み」は、労働契約だけでなく口頭での合意等も含まれます。
(派遣先が違法派遣に該当することを知らず、かつ、知らなかったことに過失がなかったときを除きます。)

派遣社員が申し込みを承諾しない場合は、この労働契約は成立しません。申し込みとみなされた日から1年以内に派遣社員が申し込みを承諾すると、派遣元の意思にかかわらず労働契約が成立します。
つまり、派遣先が違法派遣を受け入れた時点では、契約したとみなされるわけではなく、契約の「申し込み」みなしです。

2. 違法派遣とは

労働契約申込みみなし制度の対象となる違法派遣の例として以下が挙げられています。

・派遣の禁止業務を行わせた場合
 ⇒禁止業務についてhttps://locco-inc.com/saiyoutantou04/

・期間制限を無視して派遣社員を受け入れた場合
  ⇒期間制限についてhttps://locco-inc.com/inquire/inquiry-com/saiyoutantou01/
 派遣元は期間制限違反が労働契約申込みみなし制度の対象となる旨を明示する必要があります。

・無許可事業主からの受け入れ

・偽装請負(労働者派遣法等の適用を免れる目的での契約)の場合

3. 労働契約申込みみなし制度の期間

違法派遣が発生した後、是正した場合でも、違法状態終了した日から1年間は労働契約を撤回することはできません。

↓労働契約申し込みみなし制度の概要はこちら(厚生労働省HPより)
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11650000-Shokugyouanteikyokuhakenyukiroudoutaisakubu/0000099951.pdf