守るべき義務!派遣社員の公正な待遇のために②
前回は、派遣先の採用担当者として押さえておきたい、派遣社員の公正な待遇のための待遇決定方式2つについて確認しました。2つの方式に共通する派遣先の義務についてもチェックしましたが、今回はより詳しく注意点を深堀りしていきます。
1. 待遇情報の提供
派遣先均等・均衡方式、労使協定方式いずれの場合でも、派遣先は派遣元への待遇情報の提供が義務となっています。
待遇情報とは、派遣先均等・均衡方式の場合、比較対象労働者に関する以下の情報です。
・職務の内容、職務の内容及び配置の変更の範囲並びに雇用形態
・選定した理由
・昇給、賞与などの待遇内容(昇給、賞与その他の主な待遇がない場合には、 その旨)
・待遇の性質及び当該待遇を行う目的
・待遇を決定するに当たって考慮した事項
労使協定方式の場合は、比較対象労働者の選定は不要のため、以下の情報が該当します。
・業務の遂行に必要な能力 を付与するために実施する教育訓練
・給食施設、休憩室、更衣室等の福利厚生施設について
ここでの注意点ですが、まずは情報を提供するということが大事です。 待遇情報を提供せずに、派遣契約を締結することはできません。
2. 教育訓練と福利厚生施設利用の機会提供
派遣元の求めに応じて、派遣社員に対し、業務の遂行に必要な能力を付与するための教育訓練を行うことが義務となっています。業務内容によって教育訓練内容も変わるため、派遣契約ごとに教育訓練情報の提供が必要になる場合もあります。
福利厚生として、食堂・休憩室・更衣室の利用機会は、派遣先の通常の労働者と同様でなければなりません。また、配慮義務としては、物品販売所、病院、診療所、浴場、理髪室、保育所、図書館、 講堂、娯楽室、運動場、体育館、保養施設等の利用に関する便宜の供与があります。
3. 派遣先責任者の選任、派遣先管理台帳の作成
派遣先は、受入事業所ごと、派遣社員100人あたり1人の派遣先責任者を選任し、派遣先管理台帳を作成することが労働派遣法によって定められています。ここでの注意点は、「受入事業所ごとに」選任する必要があるという点です。
派遣先責任者とは
派遣先責任者は、派遣社員の適正な就業を確保するために、就業の管理を一元的に行う役割のために選任されます。 選任方法の規定はありませんが、派遣先が講ずべき措置に関する指針にて以下に該当する人物が求められています。
・労働関係法令に関する知識を有する者であること
・人事・労務管理等について専門的な知識又は相当期間の経験を有する者であること
・派遣労働者の就業に係る事項に関する一定の決定、変更を行い得る権限を有する者である こと等
派遣先責任者は、厚生労働省が指定する「派遣先責任者講習」にて関係法令やその職務に関する必要な知識等を学ぶことができます。
派遣先管理台帳とは
派遣先は、事業所ごとに、派遣先管理台帳を作成し、派遣労働者ごとに労働日、労働時間等の派遣社員の就業実態について記載しなければなりません。派遣契約終了日から3年間の保存が必要です。
待遇情報や派遣先責任者について確認したい採用担当者はこちらをチェック↓
厚生労働省HP:
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/
0000107577.html
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/
0000088382.html